「地下タンクは、中身を抜いたまま放置しても大丈夫なのか」
「撤去にはどのくらいの費用がかかるのか」
ガソリンスタンドや工場などに設置されている地下タンクを廃止する際の扱いは、悩みますよね。
老朽化した地下タンクをそのまま放置すると、内部の残留物が漏れ出して土壌や地下水を汚染するおそれがあるため、法令に基づいて適切に廃止しましょう。
本記事では、地下タンクを廃止する3つの方法や廃止が必要となるタイミング、費用の目安、補助金の有無などを詳しく解説します。
地下タンクを安全に廃止するには?
地下タンクを廃止する際は、まず信頼できる専門の業者を選定しなければなりません。危険物取扱や廃棄物処理に関する資格・実績を持つ業者に依頼する必要があります。
地下タンクは構造が複雑で、内部に可燃性ガスや汚染物質が残っている場合があるため、慎重に作業を進めてもらえる業者に依頼しましょう。
工事の大まかな流れとしては、まずタンク内に残った危険物を抜き取り、中和剤などを使って洗浄を行います。その後、地下タンクの状況に応じて「水張り作業」「砂入れ作業」「掘り起こし撤去」のいずれかの方法で廃止工事を進めます。
最終的に現場の安全確認と原状復旧を行うと作業完了です。
また、工事に着手する前には、消防法に基づいて所轄の消防署へ「廃止届」の書類を提出する必要があります。
事務手続きの方法は地域によって異なるため、地域の消防署に確認してから適切な手順で進めましょう。
地下タンクを廃止する3つの工事方法
地下タンクを廃止する工事方法には、以下の3種類があります。
- 水張り作業
- 砂入れ作業
- 掘り起こし撤去
それぞれ詳しくみていきましょう。
水張り作業
水張り作業は、タンクを地下に残したまま内部に水を満たして安全な状態にする工事です。
タンク内に残った燃料や廃液を抜き取り、洗浄・ガス抜きを実施したうえで、空になったタンク内に水を張ります。空気と水の入れ替えを行うことで引火や爆発のリスクを防ぎます。
水張りは比較的短期間で施工でき、掘削を伴わないため費用も抑えやすい点が特徴です。
ただし、タンクを地中に残すため、将来的に腐食や地盤沈下の原因となるおそれがあり、土地の売却や再開発時に撤去を求められることがあります。
廃止後の土地利用を踏まえ、専門業者と相談のうえで適切な方法を選ぶのが大切です。
砂入れ作業
砂入れ作業は、地下タンクの内部に砂を充填し、空間を完全に埋めて安全な状態にする廃止方法です。
作業を行う前に、まずタンク内の残留油や廃液を抜き取り、人がタンク内に入り隅々まで洗浄し、危険物の除去を行います。
それから、マンホールから砂を少しずつ投入し、内部を隙間なく満たしていきます。
砂入れによる廃止は、地下タンクの内部につながるマンホールがないと実施できません。マンホールのないタンクは、他の方法を検討する必要があります。
この方法では地下タンク自体は地中に残したまま完了するため、費用が抑えやすく比較的短期間で完了します。
ただし、次の土地の利用方法次第では、タンクの撤去が必要です。
掘り起こし撤去
掘り起こし撤去は、地下タンクを完全に撤去して確実に廃止する方法です。
所轄消防署からの指導に基づいて、安全管理体制を整えたうえで作業します。
掘り起こし作業前にタンク内に残った燃料や廃液を抜き取り、洗浄・ガス抜きを実施して、可燃性ガスを大気中に放出する工程が必要です。
周囲の土を掘削してタンク本体を露出させ、クレーンなどの重機を用いて地上に引き上げます。
撤去したタンクは、産業廃棄物として処分場へ搬出し、法令に基づいて適切に処理されます。
掘り起こし撤去は工期や費用がかかる一方で、地下にタンクを残さないため、将来的に土地を売却・再開発する予定がある場合に望ましい廃止方法です。
また、タンクの腐食による地盤沈下や環境リスクを完全に解消できます。
地下タンクの廃止が必要になる時期とは?
ここでは、地下タンクの廃止が必要になる時期を解説します。
ガソリンスタンドの廃業や工場の解体時に必要
地下タンクの廃止が必要になる主なタイミングは、ガソリンスタンドの廃業や地下タンクのある工場の解体を行うときです。
ガソリンや化学薬品などの危険物を貯蔵していた地下タンクをそのまま放置すると、タンクが腐食して残留した油分や有害物質が土壌や地下水に漏れ出すおそれがあります。
そのため、使用を終えた段階で廃止工事を行うことが義務付けられています。
ガソリンスタンドなどの危険物を扱う施設では、廃業時に消防署への届出をして、指導にしたがって安全な方法で処理を進めなければなりません。
工場を解体する際も、操業時に使用していた地下タンクがある場合は、廃止手続きを済ませてから解体工事を行うのが一般的です。
適切な手順を踏まずに作業すると、行政から指導を受ける可能性があります。
解体工事業者や不動産会社から地下タンクの廃止方法を聞かれることも
解体工事業者や不動産会社とやり取りをする際に、地下タンクの廃止方法の確認を求められるケースがあります。
工場やガソリンスタンドなど危険物を扱っていた土地では、地中にタンクが残っているかどうかが、今後の土地利用や取引の可否に関わる可能性があるため重要です。
廃止が済んでいない場合、解体工事の前に撤去や充填などの対応を行わなければならず、作業工程や費用の見積もりにも影響します。
また、土地を売買・賃貸する際にも、地下タンクの有無や廃止状況は重要な確認項目です。
タンクを残したまま売却した場合、後から土壌汚染が見つかると新たな所有者とトラブルになるおそれがあります。
廃止工事を行った後は、工事報告書や消防署への届出書などの証明書類を必ず保管しておきましょう。
これらの書類は、取引や再開発の際に「安全に廃止済みである」ことを示す重要な証拠となり、トラブルの防止につながります。
廃業が決まったら、速やかに地下タンクの廃止できる業者を選定する必要があります。地下タンクの廃止は、ぜひ太陽油化におまかせください。
「水張り作業」「砂入れ作業」「掘り起こし撤去」の工事に対応しており、状況に応じて提案可能です。
地下タンクの廃止でお困りの方は、以下のリンクからお気軽にお問い合わせください。
地下タンクの廃止にかかる費用
地下タンクの廃止にかかる費用に関して、以下の2点から解説します。
- 費用の目安
- 地下タンクの廃止に補助金が出る可能性あり
それぞれ詳しくみていきましょう。
費用の目安
地下タンクの廃止にかかる費用は、工事方法や設置状況、地域によって大きく異なります。正確な費用を把握するために、必ず専門業者に現地で調査してもらって見積もりを取っておきましょう。
一般的には、水張りや砂入れによる廃止は比較的簡易な工事であり、費用は数十万円程度で収まります。
一方、掘り起こし撤去は工期も長くなり、規模によっては数百万単位の高額な工事となります。タンクを完全に地中から取り除くため、重機を使用した掘削や運搬、産業廃棄物としての処理費用が高くなりがちです。
また、タンクの容量や深さ、周辺の舗装状況なども費用に影響する要因となります。専門業者が現地でタンクの状況を確認すると、正確な金額の把握につながります。
地下タンクの廃止に補助金が出る可能性あり
条件を満たす場合には、地下タンクの廃止費用で補助金や助成金を活用できる可能性があります。
たとえば、ガソリンスタンドなど危険物施設の撤去や、老朽化した地下タンクの廃止を対象とした制度が自治体によって設けられている場合があります。
これらの補助金や助成金は、環境保全や土壌汚染防止を目的としており、廃止工事や土壌調査に必要な費用の一部を支援する仕組みです。
補助率や申請期間は地域によって異なり、事前の申請が必要な場合もあります。工事を依頼する前に、自治体や商工会、業界団体などのホームページで利用できる助成金や補助金がないか確認しておきましょう。
補助金は予算の上限に達すると受付が終了することもあるため、早めの情報収集と準備が必要です。
一般社団法人全国石油協会では、地下埋設物等の撤去工事に補助金を出しています。令和7年度分の要項は、以下のリンクから確認できるため、補助金の活用を検討中の方は確認してみてください。
地下タンクの休止とは?
地下タンクの休止とは、使用を一時的に停止する措置であり、将来的に再び使用する可能性がある場合に選ばれる方法です。
地下タンクを休止する際は、タンクの危険物をすべて抜き取り、清掃・ガス抜きなどを実施し、管轄の消防署へ「休止届」を提出します。
「休止届」の提出期日は地域によって異なりますが、できるだけ速やかに届け出る必要があります。
また、休止届を提出しても法的義務が消えるわけではなく、休止期間中も定期点検や安全確認を継続しなければなりません。
タンクの腐食や漏洩を防ぐため、基本的に年に1回の定期点検の実施が求められます。
さらに、再び地下タンクの使用を開始する場合には、再開の届出を管轄の消防署に提出する必要があります。
まとめ|ガソリンスタンドや工場の解体の際には地下タンクの廃止方法を検討しよう
地下タンクの廃止は、ガソリンスタンドの廃業や危険物を扱う工場の解体などで重要な工程です。
老朽化した地下タンクを放置すると、残留した燃料や薬品が漏れ出して土壌や地下水を汚染し、地域の環境や住民の健康に大きなリスクを発生する可能性があります。
安全に作業を行うには、管轄の消防署に届出を行い、専門の資格や実績を持つ業者に依頼して、正しい手順で地下タンクの廃止を進めましょう。
廃止の方法には「水張り作業」「砂入れ作業」「掘り起こし撤去」の3種類があり、土地の今後の利用計画やコストを踏まえて適切な方法を選ぶ必要があります。
その後の土地の利用方法次第では、タンクを完全に撤去できる掘り起こし撤去が望ましい場合があります。ただし、掘り起こし撤去は、水張り作業や砂入れ作業に比べて高額になることを頭に入れておきましょう。
地下タンクの処理は、環境保全や住民の安全確保のための大切な作業として、確実な手続きと専門的な対応をしなければなりません。
太陽油化は、60年以上にわたって環境対策に取り組んできた企業です。地下タンクの廃止でも、豊富な実績と専門知識を有しています。
法令に基づいた安全で正確な地下タンクの廃止を実施するなら、以下のリンクよりぜひ太陽油化にご相談ください。






