「地下タンクを設置した後、定期点検はどのくらいの頻度で行えばいいの?」
「定期点検ではどのような部分を確認するの?」
危険物を取り扱う地下タンクを設置している事業所で、こうした疑問を持っている方はいませんか。
地下タンクは長期間使用するうちに腐食や劣化が進み、燃料や重油などが漏れ出すおそれがあります。
漏洩が発生すると土壌や地下水を汚染し、行政から事業停止命令を受けるリスクがあるため、法令に基づいた定期的な点検が必要です。
本記事では、地下タンクの定期点検の目的や検査方法、実施手順、頻度の基準などを詳しく解説します。安全で安定した事業運営を続けるために、点検の重要性を理解しておきましょう。
地下タンクがある施設とは?
地下タンクは、地上に大型の燃料タンクを設置できない場所や、安全性を確保したい施設などで広く利用されています。
代表的なのはガソリンスタンドで、給油機の地下にタンクを埋設し、ガソリンや軽油などを貯蔵しています。車両への給油効率を高めつつ、火災や爆発のリスクを低減するために地下への設置が一般的です。
また、工場でもボイラーや発電機などの燃料としての重油を貯蔵する目的で地下タンクが使用されることがあります。
地下タンクは危険物を取り扱う事業所で欠かせない設備です。一方で長期間の使用によって腐食や漏洩が起きるおそれもあります。
そのため、危険物を扱う施設では、法令に基づいた定期的な点検が求められています。
地下タンクの定期点検を行う意味
地下タンクの定期点検を行う主な目的は、危険物の漏洩を未然に防ぎ、周囲の環境や人々の安全を守ることです。
定期点検を怠り、地下タンクから燃料や重油などが漏れ出すと、気付かないうちに土壌や地下水を汚染するリスクがあります。
最悪の場合、大規模な環境汚染や住民の健康被害につながり、行政指導や事業停止命令を受けるかもしれません。
そのため、危険物を貯蔵する地下タンクを設置している事業者は、定期的に漏洩の有無を確認する点検を実施する義務があります。
地下タンクや配管などの気密性や腐食状況を一定の周期で確認する義務は、消防法第14条の3の2で定められています。
地下タンクからの危険物の漏洩が起こると、修復や土壌改良などの対応に多額の費用が必要です。また、一度危険物が漏洩すると顧客や住民からの信頼が損なわれ、回復するのは困難でしょう。
定期点検は単なる法的義務ではなく、施設の安全性を維持し、安心して事業を継続するために必要な作業です。
地下タンクの漏洩検査の方法
地下タンクの漏洩検査は、タンク内部や配管の劣化・損傷による燃料の漏れを早期に発見するために行われます。
地下に埋設されているため外から状態を確認するのは難しく、専用の機器や技術を用いた検査が必要です。
太陽油化では、地下タンクの状況に応じて以下の4つの方法の中から提案します。
- 加圧式気密漏洩検査
- 微加圧式気密漏洩検査
- 減圧検査
- その他の方法
太陽油化で実施可能な地下タンクの定期点検の詳細は、以下のリンクから確認できます。施設を安全に管理できるよう、危険物施設の定期点検は太陽油化にぜひご相談ください。
地下タンクの定期点検を行うには?
地下タンクの定期点検を行うには、一定の条件を満たす必要があります。点検を実施する際には、以下3つのうちいずれかの条件が求められます。
- 危険物取扱者
- 危険物施設保安員
- 危険物取扱者の立会いを受けた者
自社で定期点検を行うには、点検実施者が実施の条件を満たしたうえで、必要な器具を揃える必要があります。定期点検のために器具を揃えるのはおすすめできません。
不十分な点検を行い行政から指導を受けるリスクを避けるためにも、専門的な知識と資格を持つ業者に依頼すると安心できます。
地下タンクの漏れの点検を行う作業者は、一般財団法人全国危険物安全協会が実施する「地下タンク等定期点検技術者講習」を受講し、修了証の取得が必要があります。
講習では地下タンクの構造や腐食の仕組み・点検時に使用する測定器具の扱い方・検査記録の作成方法など、実務に直結する内容を学びます。受講後に修了考査が行われ、合格すると「地下タンク等定期点検技術者」として修了証の受け取りが可能です。
修了証の有効期間は5年間であり、5年ごとに定期講習を受講して、修了証の有効期限を延長できます。定期講習では、修了考査は行われません。
講習は各地域で定期的に開催されており、一般財団法人全国危険物安全協会の公式サイトから申込可能です。
自社で上記の手順を経た、地下タンク等定期点検技術者を立てようとすると、時間や費用がかかります。また、担当者の異動や退職で対応できなくなる可能性もあります。
確実に点検を行うためには、資格を持つ人員が所属する専門業者に依頼するのが安心です。
参考:一般財団法人全国危険物安全協会|地下タンク等・移動貯蔵タンク定期点検技術者講習
地下タンクの定期点検の頻度
地下タンクの漏れの点検頻度に関して、以下の2点を説明します。
- 基本は年1回
- 3年に1回でいい場合がある
それぞれ詳しくみていきましょう。
基本は年1回
地下タンクの漏れの点検は、消防法第14条の3の2に基づき、原則として年1回の実施が義務づけられています。
地下に埋設されたタンクは外部から劣化を確認しにくく、点検をせずに放置すると知らないうちに燃料が漏れ出すおそれがあります。
年1回の点検を行うと、漏洩や腐食の早期発見につながり、事故や環境被害の対策が可能です。
法令で定められた頻度を守り、適切な維持管理を継続する必要があります。
3年に1回でいい場合がある
地下タンクの漏れの点検は原則として年1回と定められていますが、一定の条件を満たしていれば3年に1回の点検でも認められます。
たとえば、防食性能を備えた二重構造タンクや、常時監視が可能な漏洩検知装置を設置している場合が該当します。腐食や漏洩のリスクが大幅に低減されるため、点検周期の延長が可能です。
また、使用環境や経年劣化の状況によっては、漏れの点検を3年に1回実施する条件を満たしていても早期点検が望ましいケースがあります。
定期点検頻度の判断に迷う場合は、以下のリンクよりお気軽に太陽油化までお問い合わせください。
参考:苅田町|地下貯蔵タンクの定期点検(漏れの点検)フローチャート及び地下埋設配管の定期点検(漏れの点検)フローチャート
地下タンクの廃止・休止時にはどうする?
ここでは、地下タンクを廃止する場合や休止する場合の対応を説明します。それぞれ詳しくみていきましょう。
地下タンクの廃止方法
地下タンクを廃止する際、使用を停止したまま放置すると漏洩や地盤沈下などの原因となるため、適切な方法で処理する必要があります。廃止の方法は主に次の3つです。
- 水張り作業
- 砂入れ作業
- 掘り起こし撤去
水張り作業はタンク内部を水で満たす方法で、砂入れ作業はタンク内部を乾燥した砂で満たし、空洞をなくす方法です。タンクを地中に残したまま廃止されるため、比較的安価に工事できます。
掘り起こし撤去は、タンクを地中から完全に掘り出して撤去する方法です。工事費用が高額になりやすいですが、その後の土地の利用方法次第では、掘り起こし撤去が求められる場合があります。
太陽油化では、上記3つの廃止作業のすべてに対応可能です。地下タンクの状況をヒアリングして、廃止方法を的確に提案できます。
法令に基づいた安全で正確な地下タンクの廃止を実施するなら、ぜひ以下のリンクより太陽油化にご相談ください。
地下タンクの休止時の対応
地下タンクの休止とは、一定期間使用を中止するものの、いずれ使用する可能性がある状態を指します。廃止とは異なり、タンクを利用できる状態で保管するため、再利用を前提とした管理が必要です。
休止の際は、まずタンク内の燃料や残留物をすべて抜き取り、内部を洗浄します。その後、可燃性ガスを十分に除去し、タンク内部を安全な状態に保つことが求められます。
休止している地下タンクも定期点検が必要なため、適切に管理しましょう。
まとめ|地下タンクの定期点検を適切に行いましょう
地下タンクは、燃料や重油などの危険物を安全に貯蔵・使用するために欠かせない設備です。しかし、長期間の使用により腐食や劣化が進むと、燃料の漏洩や土壌汚染など重大なトラブルを引き起こすおそれがあります。
トラブルを防ぐためにも、消防法で定められた周期に基づいた地下タンクの定期点検の実施が重要です。
点検を自社で行う場合は、地下タンク等定期点検技術者講習を修了した有資格者が必要であり、危険物施設保安員または危険物取扱者の立会いも求められます。
定期点検に必要な専用機器を揃えるのも容易ではないため、確実に点検を行うには専門業者に依頼するのが現実的です。
太陽油化では定期点検や、廃止・休止などの地下タンクに関する作業に一貫して対応しています。
地下タンクの運用に関するご相談は、ぜひ太陽油化までお問い合わせください。







