多くの廃油が排出される事業所で、処理方法にお困りの方はいませんか?
廃油は産業廃棄物に区分され、適切に処理しなければ法令違反や事故につながる可能性があります。廃油の定義や種類を知り、自社で排出される廃液の適切な処理方法を検討しましょう。
なかには引火性の高い油や、PCBを含む人体への影響が懸念される廃油もあります。取り扱いの注意点を把握し、安全に処理できるようにしましょう。
本記事では、廃油の定義や種類、取り扱う際の注意点などを解説します。事業所で出た廃油の処理方法でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
太陽油化では鉱物油・合成油・混合油などのさまざまな廃油の処理を行っています。
回収した廃油は、リサイクルして森林再生事業に役立てています。廃油の処理業者でお困りの方は、ぜひ以下のリンクより太陽油化の廃油再生事業をご確認ください。
廃油の定義
廃油とは、事業活動などで使用された油や不要となった油を指し、産業廃棄物に分類されます。
機械の潤滑に使われたエンジンオイルやギヤー油、金属加工に使用された切削油、また洗浄作業で発生する廃油などが代表的な例です。
家庭から排出される廃食用油とは異なり、事業所から排出される廃油は量や性状が多様なため、取り扱いには注意が必要です。
廃油は放置すると環境汚染や火災の原因となります。廃油を排出する事業所では、廃棄物処理法に基づく適切な処理方法や消防法に基づく保管ルールを知っておく必要があります。
参考:環境省|廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)
廃油の種類
廃油には多くの種類があり、性質や用途によって適切な処理方法が異なります。以下に廃油となる主なオイルを4種類あげています。
- 鉱物油系廃油(原油を蒸留・精製して作られる石油系の油)→エンジンオイル、ギヤー油、タービン油、油圧作動油など
- 動植物性油系廃油(動物や植物を原料とした天然由来の油脂)→食用油、環境配慮型潤滑油など
- 合成油系廃油(化学的に合成して作られる人工的な油)→合成エンジンオイル、シリコンオイル、航空機用タービン油など
- 混合油(2種類以上の油や、油と燃料等の混合物)→2サイクルエンジン用混合燃料(草刈機やチェーンソー、スノーモービルなど)
鉱物油の廃油は自動車や機械設備から大量に発生する、リサイクル需要が高い廃油です。動植物性油は食品工場や飲食店から排出され、バイオ燃料に再利用されることがあります。
合成油は、安定性が高く幅広い事業所で廃油が出されます。また、混合油は処理が難しく、適切な取り扱いや処理が必要です。
廃油の種類を把握すると、安全で効率的な処理につながります。
特別管理産業廃棄物に含まれる廃油
廃油の中には、特別管理産業廃棄物に該当するものがあります。代表的なのは引火点が低く、火災や爆発の危険がある引火性廃油です。
また、人体の健康を損なうとされるPCBを含む油や、特定の有機塩素化合物を含む廃油も特別管理産業廃棄物に指定されています。
特別管理産業廃棄物は通常の廃油に比べて規制が厳しく、処理方法も法令で細かく定められています。
無許可での処分や不適切な処理は法令違反につながるため、必ず許可を受けた専門業者に委託しましょう。
産業廃棄物としての廃油の処理方法
産業廃棄物の廃油(引火性廃油を含む)で使われる代表的な処理方法には、以下の3つがあります。
- 焼却
- 蒸留
- 油水分離
それぞれの処理方法を詳しくみていきましょう。
焼却
焼却は廃油処理の代表的な方法のひとつです。廃油はそのままでは、環境汚染につながったり引火や発火による火災が起こったりするリスクをともなうため、高温で燃焼させて安全に処理します。
専用の焼却炉を用いることで、廃油を二酸化炭素や水蒸気などに分解でき、有害物質の拡散を防ぐことが可能です。
とくに引火点の高い廃油や有害物質を含む廃油は、焼却して確実に処理されます。
また、廃油の焼却時に発生する熱エネルギーを回収して発電に利用する「サーマルリサイクル」も行われており、資源を有効に活用されている焼却処分場もあります。
焼却炉の運転には厳しい環境基準が設けられており、ダイオキシン類や有害ガスの排出を防ぐため高度な設備と管理が必要です。
適切な許可を持つ専門業者に委託し、安全かつ環境に配慮した焼却処理を行うことが求められます。
蒸留
蒸留は廃油を加熱して気化させてから、冷却することで成分を分離・回収する処理方法です。沸点の違いを利用して、不純物を取り除きながら、再び利用可能な油分を取り出せる点が特徴です。
たとえば廃棄溶剤などは、蒸留によって、再生溶剤や再生燃料としてリサイクルされています。
廃棄してしまうのではなく、資源として循環させられるため、環境負荷の低減につながります。
一方で、蒸留後に残る物質は、有害成分を含む場合があるため、適切な処理が必要です。対象が非常に危険性の高い溶剤類も入ってくるため、蒸留処理には専門知識と厳重な注意が必要ですが、環境にやさしい処理方法として注目されています。
油水分離
油水分離は、廃油に含まれる水分や不純物を取り除く処理方法で、廃油を再利用可能な状態に近づけるために行われます。
油水分離の主な方法は、以下の4点です。
- 重力分離
- 浮上分離
- 遠心分離
- 破乳分離+凝集沈殿
一般的な方法は、重さの差を利用して油と水を分ける重力分離で、比較的シンプルな設備で処理可能です。
油滴を浮上させて分離する浮上分離や、遠心力を用いて効率的に油分を分ける遠心分離は、大量処理が求められる場合に用いられます。
また、廃油と水が乳化して分離しにくい場合は、薬剤を使って乳化を壊す破乳処理と、凝集剤を加えて沈殿させる凝集沈殿を組み合わせる方法が使われます。
油水分離は上記の方法を組み合わせて処理に取り入れているところもあり、簡易的な処理でも組み合わせることで高い水準で処理を行うことが可能となります。
太陽油化の廃油処理方法
太陽油化で行っている廃油処理方法は、以下の3つです。
- 再生
- 油水分離
- 濃縮・生物処理
再生処理は太陽油化独自の廃油処理方法となり、水処理施設も保有しているため、廃油の再生処理時に発生する廃液も自社内でのリサイクルが可能です。そのため環境に負担をかけない処理を実現しています。
太陽油化にご依頼いただけると、回収から精製・納品まで一貫して自社で作業します。処理の工程ごとに別の業者を探す必要はありません。
また、処理可能な廃油が多岐にわたり、多くの種類の廃油を排出する事業所からの依頼にも対応できます。
太陽油化の廃油再生事業の詳細やお問い合わせは、以下のリンクよりご確認ください。
注意が必要な廃油
取扱いに注意が必要な廃油は、以下の4つの特徴があります。
- 引火点が70℃未満の燃えやすい油
- 毒性が高く人体・環境に対し危険なもの
- 腐食性・反応性があるもの
- 法令で特に指定されている成分を基準濃度以上含むもの
上記の4つは特別管理産業廃棄物に指定され、処理方法が厳格に管理されています。それぞれ詳しくみていきましょう。
引火点が70℃未満で燃えやすい油
引火点が70℃未満の廃油は、わずかな熱源や火花でも発火しやすい危険な物質です。
常温付近でも蒸気が発生しやすく、設備・車両・作業員の静電気・摩擦など、日常的な要因が火元となる危険性があります。爆発や火災を引き起こすリスクが極めて高いため、取扱いには十分な注意が必要です。
保管や処理にあたっては、防爆対応の容器・設備を用いた密閉保管が不可欠です。また、高温や火気を避け、静電気防止措置を徹底することが求められます。
さらに、揮発蒸気が滞留しないよう局所排気や換気設備を整え、運搬時には専用容器・車両を使用しなければなりません。万一漏洩が発生した際には、緊急措置を即座に実行できる体制を整えておく必要があります。
【参考油種】
- 廃ガソリン
- 廃シンナー(トルエン、キシレン等)
- 廃ベンゼン
- 廃酢酸エチル
- 廃灯油、廃ナフサ
毒性が高く人体・環境に対し危険なもの
毒性の強い廃油は、微量の吸引や皮膚接触であっても急性中毒を引き起こす恐れがあり、発がん性や慢性的な健康障害のリスクを伴います。
取り扱いを誤れば、作業員の健康や周囲の設備に深刻な影響を与えるため、特別管理産業廃棄物として厳重な管理が必要です。
保管には専用の密閉容器を用い、容器には有害廃棄物であることを明確に表示しなければなりません。保管場所は施錠して管理し、作業時には必ず保護具を着用する必要があります。
また、揮発性ガスによる被害を防ぐため「局所排気装置や常時換気を整備する」「異なる物質を混合しない」などの注意が求められます。
さらに、漏洩が起こった場合に備えて、緊急時対応マニュアルの設置が必要です。
【参考油種】
- 廃ベンゼン
- 廃トルエン
- 廃キシレン
- 廃クロロホルム
- 有機塩素系溶剤(廃テトラクロロエチレン等)
腐食性・反応性がある油
腐食性や反応性を持つ廃油は、容器や設備を劣化させ、破損や漏洩を引き起こす危険性があります。他の廃棄物や水分と混ざると急激な発熱や有害ガスが発生し、爆発や中毒事故につながる恐れもあるため、取扱いには注意が必要です。
保管に際しては専用の容器を用い、必ず分離して保管することが求められます。他の物質、特に水や金属類と混合してはいけません。
保管場所は明確に区分して設置して表示を行うとともに、作業時には専用の保護具を着用する必要があります。
【参考油種】
- 廃酸性油(強酸性廃油)
- 廃アルカリ洗油(強アルカリ性廃油)
- 活性剤成分を多量に含む廃油
太陽油化では、PCBの分析や処理にも対応しています。自社でPCBを含む絶縁油を排出している可能性がある場合には、以下のURLからぜひ「PCBかんたん診断」を試してみてください。
特定有害物質を高濃度含有する油
ハロゲン系(フッ素・塩素・臭素・ヨウ素)などの特定有害物質を高濃度で含む廃油は、微量であっても生態系や人体に深刻な被害を与える可能性があります。
PCBや重金属などを含む廃油は強い毒性を持ち、長期的に環境へ残留する危険性があるため注意しましょう。
こうした廃油は一般的な産業廃棄物とは異なり、排出や処理の方法が法令によって別途定められている場合があります。
保管にあたっては専用容器を用いて完全に密閉し、施錠や標識を行って有害物であることの明示が必要です。
さらに、漏洩や流出が発生した場合には、直ちに自治体や行政へ届出を行い、適切な緊急対応を取ることが義務づけられています。
【参考油種】
- PCB含有廃絶縁油
- 塩素系有機溶剤(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等)
- 鉛・水銀含有廃油
家庭の食用油の処理方法
ここでは、一般的な家庭での食用油の処理方法として、以下の2つを紹介します。
- 少量なら紙に染み込ませたり固めたりして廃棄する
- 回収してくれる店舗に持ち込む
上記はよくある処理方法ですが、基本的には地方自治体のホームページなどで詳細を確認して指示に従いましょう。
少量なら紙に染み込ませたり固めたりして廃棄する
家庭で出る少量の食用油は、新聞紙やキッチンペーパーに染み込ませて可燃ゴミとして廃棄する方法が一般的です。
流しにそのまま捨てると、排水管の詰まりや環境汚染の原因になるため避けてください。
また、市販の凝固剤を使って油を固めてから袋に入れて捨てる方法もあります。
回収してくれる店舗に持ち込む
使用済み食用油は、現在では貴重な資源として、SAF等のバイオ燃料の原料として、市区町村やショッピングモール、コンビエンスストアなどにも回収スタンドが出来始めています。
回収された油は空を綺麗に利用することを目的に作られた持続可能な航空燃料(SAF)の原料に利用されています。
持ち込む際は、ペットボトルや専用容器に入れて密閉するのが一般的です。各店舗や自治体のルールに従って処理しましょう。
まとめ|廃油の処理を適切に行おう
廃油は、事業所から排出されるエンジンオイルや作動油、食品工場などで発生する廃食油など、さまざまな種類があります。
中には、引火点が低く火災の危険がある油や、PCB・有機塩素化合物を含む油など、特別管理産業廃棄物に分類されるものもあります。特別管理産業廃棄物の場合、取り扱いにはとくに注意が必要です。
処理方法には焼却・蒸留・油水分離などがあり、性状や量に応じて適切な方法を選ばなければなりません。誤った処理は環境汚染や法令違反につながるため、必ず専門の許可業者に委託しましょう。
太陽油化では、さまざまな廃油を回収し適切な処理をしています。以下は、対応可能な廃油の一例です。
- エンジンオイル(自動車内エンジンなど)
- ギヤー油
- 油圧作動油
- フラッシングオイル
- タービン油
- 非塩素系金属加工油
- スピンドル油
- 熱媒油
- トランス油(絶縁油)
- 燃料油(A重油、灯油、軽油)
- コンプレッサー油
上記以外の廃油も取り扱い可能となりますので、廃油処理でお困りの事業者様は、ぜひ太陽油化までご相談ください。